やっと読了しつつ。

目が覚めてもどうにも動けなかったおかげで、一体何ヶ月かかったのだという大岡昇平氏の小説を読み終えることができました。淡々と地味で、しかも長く。この本を読み始めてからどれだけの本に浮気したか。中には現代人気作家の小説などもありましたが、次はどうなってしまうのか気になるような派手な展開に、ついそちらを手に取ってしまいます。
人気になったケータイ小説などは良い例ですが、短期間に人の死、レイプ、妊娠、病気などがポンポン飛び出し、人が持つ俗な好奇心で引き付け倒した挙句、その全体を愛だとか希望だとかで包み、なぜかいい話になっているというすごさです。そんなものに人気が出る悲しい現実下、書籍化や映画化などで生み出す金に群がる、クリエイターなどと自称しかねない連中達に、自分達が良い文化を作っていくのだなどという気概に燃える姿など期待するのもナンセンスでしょうか。
小説だけでなく、映画も音楽も色々そうですが、テレビドラマなどもかつては、半年クールで地味な展開をしていたものでも人気があったりした時代もあったのですよね。そういうものしかなかったことが幸いして。例えば「北の国から」が今、新ドラマとして放映されたとして人気が出たか。いや、そんなストーリーのものをテレビ局が放映しようとするか。
無料の地上波放送では、他局がCM中に自局にチャンネルを合わさせようと、番組開始時間をわざわざ○時56分などにする下品さです。金にならなければ作るはずがありません。金になるかを決めるのは視聴者達です。無料地上波の低俗さに満足できない人達がいたとして、そういう人達が裕福ならば、より上質のものをDVD、ネット、衛星の有料放送などに簡単に求めていける環境では、残る無料地上波視聴者はどんな層の人が多くなってくるか。その層にウケようと作る番組はどのようなものか。きれいごと抜きでこれは悪循環と言うか、格差拡大にもつながる寂しさです。大げさなようですが、差別される人々に見られるような、貧困ゆえに無教育、無教育ゆえに貧困という悪循環に似ています。さよなら。
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category - 世間は
- 2009/10/31 (土)